蓑帽子の家
HOUSE OF MINOHAT
竣工・2019年12月
所在地・大分県由布市湯布院町川西
構造規模・木造2階建
延べ床面積・72.87㎡
施工・ザイツ建築
屋根・天然木屋根材葺き[チャネルオリジナル]ナチュレルーフ
外装壁・左官仕上げ[フジワラ化学]ジュラクペンアート
軒裏・杉野地板上古節
内装天井・よしベニア
内装壁・左官仕上げ[フジワラ化学]リッセ
内装壁・桧板貼り
土間・炭モルタル
床・フローリング[チャネルオリジナル]タモ材
床・フローリング 杉材
2020年度第14回建築九州賞において、JIA特別賞(優秀賞)を受賞
おおいた木の良さを生かした建築賞2021 特別賞を受賞
やまなみハイウェイ沿いの国定公園内のクヌギの森に建つ週末住宅。
今は4人家族のための週末住宅だが、ゆくゆくは夫婦二人の終の住処になる予定の家である。
タイトルの蓑帽子は、入母屋屋根の形状が雪ん子と呼ばれる東北地方の藁でできた雪雨をしのぐカッパに似ているからそう名付けられた。雪が屋根に積もった姿は、まさしく雪ん子のそれであった。
標高800mの高原気候のため、夏涼しく冬寒い環境は、薪ストーブが主役となるロケーションと言える。昔は夏を基準に家を考えられてきたが、昨今の家は冬を基準に考えられる。それは冬の方がエアコンなど暖房エネルギー費用がかかるためである。当然この家も冬を基準に考えて、高断熱住宅としている。薪ストーブを入れることから、気密性はそこまで追求しておらず、むしろ薪ストーブの場合気密性は低い方が良い。
入母屋造がおりなす空間は、外観から見ると大きい屋根の平屋だが、その中には3層の空間が隠れている。1階は生活空間で、ダイニング・キッチン・リビング・バスルーム・トイレといった構成で、2階と2階ロフトは寝室となっている。水回り以外の空間は全て繋がっていて、風通しの良い家族の距離感が近い設計となっている。
小さい家のメリットは、暖房エネルギーが少なくて良いこと。掃除が楽であること。家族との距離感が近いこと。移動スペースが少なくて良いこと。などなど数え切れないほどである。特に暖房エネルギーが少なくて良いことは、とても大きいメリットと言える。キッチン・ダイニング・バスルームはあえて三和土の土間とし、汚れても気にしない空間としている。薪ストーブなど木の屑などが気にならず、すぐに外に掃き出せるためとても機能的な土間となっている。
ロフトにつけた入母屋屋根頂部の三角窓から覗く景色も気持ち良いが、この窓を開けるととても良い風が室内を通り抜けるようになる。おかげで夏でもクッキングストーブが料理で活躍できる。
屋根は木の屋根で、新築当初は鮮やかな木の色を発していたが、半年もすると硬化が始まり、グレー味を帯びてきている。外壁の左官も職人の手によるテクスチャが素晴らしく、屋根の相まって、長年この場所に建っているかのような佇まいになっている。
内と外をつなぐ中間領域
土間で繋がる縁
内と外をつなぐ空間に、深い庇のかかった土間の空間があると、靴を脱ぐ文化の日本において、とても使い勝手の良い空間が生まれます。汚れても良いエリアでありながら屋根がかかっているので、雨の日でも濡れる心配がなく快適に外で過ごすことができます。
子供の遊び場であったり、親同士の井戸端会議の場であったり、縁側は家と社会をつなぐ場にもなり得ます。
開閉できる高窓
景色を切り取る額縁
大開口の木サッシ
ダイナミックな一間幅(1.8m)の一本引きレール木製建具は、構造の柱間でおさまります。内からは構造の柱しか見えない仕組みになっており、スッキリとした装いで、外の風景の邪魔をしない作りです。木製サッシは金属製と比べても遮熱性が高いため、結露の心配もありません。ぜひ一度モデルハウス「蓑帽子の家」の木製サッシを体感してみてください。